・パーマネントトラベラーになったらどのくらい節税できるの?
・パーマネントトラベラーで本当に節税は可能なの?
こういった疑問に答えていきます。結論から言うと、日本人の私達はパーマネントトラベラーになったほうが税金を安く抑えることができます。
◆日本人パーマネントトラベラーが節税できる税金はどれくらい?
まず、日本の税制は「属地主義」を取っているため、日本国内で稼いだ分には税金が課せられますが、国外で稼いだ分は稼いだ国の税制に左右されます。
属地主義:ある国の領内にいる限り、すべてその国の法律を適用するべきと考えること
つまり、日本を源泉としない所得に対しては、日本での納税の義務は発生しません。
一方、アメリカでは「属人主義」を取っているので、国内外問わず、どこで稼いでもアメリカ人である限り米国に税金を納めないといけない、と決められています。
属人主義:人の居る場所ではなく、原則として本国法の適用を受けるべきと考えること
そのため、アメリカの税金の枠外に出るためにはアメリカの市民権を放棄するしかありません。
この「属人主義」を取っている国は珍しく、アメリカとフィリピン、エリトリア(課している税率は一律で2%)、北朝鮮くらいです。
では、日本人の私たちがパーマネントトラべラーになることで節税できる、主な税金の種類を見ていきましょう。
①所得税
日本は、所得税に関して累進課税制を取り入れているので、稼ぐ額が増えれば増えるほど、所得税として支払う金額も増えていくという仕組みです。
年収による税率は以下の速算表をご参照ください。

日本国内で所得がある場合、金額に応じて所得税は所得から天引きされますが、国外からの所得に日本国が税金を課すことはできません。
年収によって差はありますが給与の5〜45%を節税が見込めます。
②固定資産税
固定資産税とは戸建てやマンションを所有している世帯主に年一回課される税金のことです。固定資産の税額は、固定資産税評価額×1.4%で算出されます。
例えば、500平方メートルの土地を所有していて、評価額(役所が決めた土地の価格)が1,000万円の場合、
固定資産税の価格=1,000万円 × 1.4%=14万円/年 となります。
国内に住居を持たないことで、毎年かかる固定資産税も抑えることができます。
③消費税
現在の日本では消費税が食料品にも車にも、一律に8%課されています。それが2019年10月からは軽減税率を導入し、税率10%に引き上げる予定ですよね。
しかし非居住者と認められた場合、日本のパスポートを持っていても免税対象になることができます。
免税対象となるのは以下の品物です。
一般物品・・・
鞄や時計、電化製品など形の残る物
- 同じ店舗での購入額が5,000円以上(100万円を超える)場合は旅行券のコピーを提出する必要があります
消耗品・・・
化粧品や薬、食品といった形の残らない物
- 同じ店舗での購入額が5,000円以上50万円までであること
- 非居住者は購入から30日以内に輸出しなければならない
- 日本で消費してはならないため、指定された方法で包装されていること
上記の点がそれぞれの条件となっています。
参照:観光庁
日数の調整も必要ですが、日本で日用品を購入する際には免税を受けることが可能ですね。
④キャピタルゲイン課税
キャピタルゲイン課税とは、資産の価値が変動することによって得た所得に対する課税のことで、株式や不動産投資で得た収益などが対象になります。
日本ではキャピタルゲイン課税には別途で所得税、住民税が課税されることが原則となっています。そして、証券用語解説によるとキャピタルゲインの税率は
2013年1月1日から2037年12月31日までの間、復興特別所得税が所得税に上乗せされるため、税率は合計で20.315%
とあります。
参照:証券用語解説
日本で仮に1,000万円の利益を出したとしても、税引き後の手元に残る金額は795万8,500円という計算になりますね。
反対にタックスヘイブン国の一つであるシンガポールでは、キャピタルゲインへ課税は行っていません。
タックスヘイブン(=Tax Haven)とは法人税や相続税などの税金の負担が軽く、優遇されている国や地域のことを指します。イギリス領のケイマン諸島、パナマ諸島、シンガポールや香港が有名です。
投資を行う国を変えることで20%の節税ができるのは魅力的ですね。
⑤法人税
企業の売り上げに対して課される法人税の日本の税率は、一般的に23.2%、企業によって10〜20%が課されています。この法人税もタックスヘイブンに会社を設立することで抑えることが可能です。
香港での法人税率は 、会社の利益が200万香港ドルまでは8.25%が、200万香港ドルを超える場合は16.5%の税率が課されます。「200万香港ドル=2,800万円(1香港ドル14円)で計算」
企業の年商にも左右されますが、日本と比べてかかる法人税は抑えられそうですね。
◆パーマネントトラベラーで発生する税金は完全には避けられない?
節税できるものはありますが、すべての税金から逃れられるわけではありません。逆に国外に出たためにかかってしまう税金もあります。
一つずつ見ていきましょう。
①観光税
国際観光旅客税という日本から出国する際、一回の出国に対して1,000円を航空会社などがチケット代金に上乗せし、納付する2019年1月7日より新たに導入された税法があります。
また、国や地域によって宿泊税(滞在税)がかかる場合があります。
- 一定日数以上の滞在をするとかからないこともありますがベルギー、スイスなど免除の項目がない国もあるようです。
- アメリカでは州ごとに規定が変わりますが、12〜17%のホテル税が課される場合がほとんどです。
- シンガポールでも10%のサービス税に別途7%のホテル税がかかります。
ホテルの滞在を考える場合は、国や地域ごとに確認しておくといいでしょう。直接ホテルに確認してみるのも誤解がなくなるのでおすすめです。
参考:海外ホテルの宿泊税とは?
滞在費だけではなく観光地の入場料なども国民(=Native)か 外国人(=Forigner)で価格が大きく異なることがあるのであらかじめ情報収集しておきましょう。
②消費税
消費税は一般的に、付加価値がかかっているものにかけると考えられています。
一部の対象品目の税率を下げる、軽減税率を取り入れている国も多いものの、購入品によっては高い消費税を要求されかねません。
例えば、フランスでは以下の表のように、標準税率は20%ですが、製品の加工段階によって異なる税率が課されます。

上記以外でも
- レストラン利用は10%ですが、テイクアウトだと5.5%
- マーガリンは20%に対してバターは5.5%
- ミルクチョコやホワイトチョコは20%、けれども製菓材料であるブラックチョコレートは5.5%
と複雑化している場合もあります。
参照:フランスの消費税と軽減税率、免税手続き方法
非居住者になることで免除される消費税もありますが、その時々の食事やシャンプー、リンスといった日用品は、使わずに次の国に移るということは難しいので、これらにかかる消費税を避けることは現実的ではありません。
- パーマネントトラベラーだからと言って100%免税ができるわけではありません。しかし、節税をしやすい国で生活することは可能です。
- 起業や資産運用は国外の方がメリットが大きいと言えるかもしれませんね。